JSL研修報告

平成27年度 第2回JSL研修の分科会報告(濱村先生)

 私達(濵村)のグループはJSL国語の授業づくりでした。午前中に濵村の日本語学級の国語指導で今まで作った教材や指導案を見てもらい、午後は指導案を作りました。

 指導案作りでは、指導案の書式3枚綴りを用意しました。一枚目は、「単元目標を設定する」ものです。教科書の教材をよく見て、児童にねらえそうな目標や学習活動を考えます。二枚目は、「単元の指導計画」です。ワークシートも含めて単元の指導計画を立てます。三枚目は、「本時の指導」です。

 今回の演習では、6人が2人ずつの3班に分かれました。各班、力を入れた部分が違うので、指導案3枚のうち2枚ずつ紹介します。また、指導案作りは、2人の作業ですが、互いに地域環境も児童の実態も指導形態も違います。架空の児童を無理に想定することはやめて、児童の実態は空欄にしました。

 「国語の教材を使った指導案作り」は、私もある程度イメージしていました。しかし、参加した先生それぞれに、地域性や子供たちの実態、指導形態等の違いがあり、指導案作りの過程は私の予想とは違ったものでした。今日の成果として、先生方が指導する学級の実態に応じて作った指導案(下記)があります。時間が限られていたので未完成ですが、これらの指導案から、みなさんの児童、学級、学校、地域に合ったヒントが得られると思います。

報告 ① 4年「新聞をつくろう」

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 この班は、「児童が取り組める」活動かを大切にしていました。はじめは別単元を題材に考えましたが、地域的に児童が活動しにくいと考え、より能動的に取り組める「新聞をつくろう」にしました。

 また、この班の良い点は、視覚的な資料を使って、語彙を増やしていこうという点です。『いくつかの読みやすい新聞記事の中から、好きな記事を見つけて発表する活動』や『見出し、写真や記事などをあらかじめ切り取っておいて、ペア探しをして、新聞の用語を学習させること』など、児童が視覚的に理解しやすく、意欲的に取り組み、語彙を増やしていく工夫をしています。

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報告② 2年「おもちゃまつりへようこそ」

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 この班の良いところは、児童の「体験」を大切にしているところです。子供たちがいろいろな体験を楽しみながら学習を進めることを重視しています。実際に遊ぶこと、パズル形式、手を動かす作業などを取り入れています。

 更に、親へのインタビューなども活動にいれて、「自分の国のおもちゃを調べて発表」させており、自尊感情を育てるのにとてもよい活動です。2年生で日本語学級に通級する児童には、関係国の文化を知らない児童もいます。配慮点として、「児童が自分の国のおもちゃを知っているかどうか」を挙げていることも大切な点です。その場合を考えて、保護者にインタビューしており、自分の文化を学び、世代や国の架け橋にもなるよい教材の扱いです。

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報告③ 4年「だれもが関わりあえるように」

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 この班のよい点は、『単元を教える難しい点』にあえて焦点を当てているところです。『主体的に、調査、観察する姿勢を身に着けさせることは難しい。でも、大切な指導事項だ。』として、児童が調査できる「小田急線の看板やATM」という「方法」も考えました。また、児童やその家庭自身がマイノリティでもあります。自分たちの困った実体験に児童の気持ちが沈まないよう配慮をするとともに、「マイノリティからの発信ができて、自分たちの生活の変化につなげたい」という希望もお二人の指導案作りに見えます。

 感想の「複数で取り組むとアイデアがいっぱい」に今回の研修会の意義を感じました。

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