JSL研修報告

平成27年度 第2回JSL研修の分科会報告(大菅先生)

大菅先生:

 私のグループは授業作りではなく、ざっくりと「体制作り」をしました。6人の先生方が、それぞれの立場で、いま体制作りの課題と思っている所をはなしていただきました。そのなかで、「これはこうしたら良いのではないか」とかアイデアが出ました。

報告

 それぞれの地域の特性、学校の立場の違いのある中、一件目に出たのが、コミュニケーションのツールとしての母語支援でした。全く日本語がゼロの場合、やっぱり学校としてまず母語が話せる人を呼んでしまう現状があるということを問題にしました。外国人が多く住む地域であれば、誰かを呼べるけれども、少ないところだったらどういう支援が考えられるだろう。とくに、警察であるとか児童相談所などそういう治安の問題が起きた時に、どうするのかをまず課題にしました。地域の国際交流協会などに支援をもとめる方法と、あればですが、第3者としての立場でNPOなどで外国人支援をやっている方に声を上げることも大事かと考えました。もう少し違うアプローチとして、そういう事例が起こる前に、自治会などにも働きかけてまき込んでいく方法もあるのではないかという話がありました。

 2点目に出たのが、個別の指導計画を立てる時に、どういうことを盛り込めば良いのかということです。評価をどう保護者に伝えるのか。評価の紙を全部翻訳した方が良いのか、や、翻訳したところで親の言語能力が低かったら、日本語で助詞の「は」を習得しましたと翻訳しても分からないだろうという話題がありました。あとは、高校として個別の指導があればそれを見たいけれど、実は、小学校、中学校、高校までの一貫したその子どもの能力を評価したシートが無くて、同じ地域でも小学校で作っていたものを中学に引き継げていないとか、あるいは高校進学先には中学校からそれを渡せないとか。そこに溝がある実態を知ることができ、なんとかしなければならないという話をしました。もしそれを把握することができれば、二度同じような指導をするようなことはおこらないだろうということです。理解を得るために市で何とか、日本語指導の担当者、国際理解と担当者で研修する機会をもって人材を育成することも大切であるということになりました。

 最後に、日本語指導に特化した話をしました。特別の教育課程で行う場合は主たる指導者はやっぱり教員であること、あるいはボランティアの関わる場合、どういう人を呼べば良いのかということが出ました。例えば、教科指導に特化する場合は元教員、日本語指導だったら日本語教師の資格や勉強したことがあるという方、母語が出来る人がいるなら活用するという話でした。

大菅先生

 ポイントは二つかなと考えます。まず、地域によって本当に進み具合がバラバラです。そのためこういう集まりになると、よく「あの地域だから出来るんだよね」「ウチは人材がいないから無理だよ」という話がなりがちですが、そう言ってしまうと一歩も進まないので、今日は今の段階で出来そうなこと、ヒントを持って帰ることを念頭に、具体的に方法を考えようということで話しました。やはり、声を出して知ってもらう事が体制作りの変化につながっていくことは確実なので、一人で抱えこまないことを話しました。日本語指導についても、やはり同じです。いろんな人に関わってもらって日本語指導を進めて行くのが一番良いのではないかというところで話がまとまりました。以上です。ありがとうございました。