JSL研修報告

平成26年度 第2回JSL研修の分科会報告(市川先生)

算数A:市川先生

【授業づくり】

 2年生の上下の教科書でそれぞれ考えました。

 1つ目は、取り出しの日本語指導学級での指導です。日常会話はできるブラジルの子、日常会話はできるけれども書くことが苦手な中国の子、日本語があまりわからないフィリピンの子をイメージしながら、日本語指導学級に入っている先生と普通学級の先生で話し合って考えました。「○○さんは、37円のガムと28円のチョコを買います。代金は、いくらになりますか。」という問題を考えさせようと思ったときに、やはり、「代金」や「いくら」という言葉がわからないだろうと思いました。そこで先生が役割演技をして、お店屋さんのレジに渡しながら「40円のゼリーと30円のアメを買いました。」という。「代金はいくらになりますか。」と聞くと、「60円です。」と返す、ということを繰り返すことによって、「代金」や「いくら」という言葉を推測させて、体得させていきたいなと思いました。また、最初はブロックやお餅などの具体的な作業を通して、ぴったり何十円になるものの計算を考えていきます。そしてその後、十の束にする作業をしながら繰り上がりのイメージをつかませ、繰り上がって何十何円というのを体験しながら、学習できたらなと考えました。

 もう一つは、具体的に自分の担当する在籍学級でJSLを取り入れたいと思い考えました。25人学級で外国につながりのある児童が2名いるクラスです。1名は入学時に来日した子で日常会話はできる児童、もう1名は日本生まれで日常会話は流暢だけど学習言語がなかなか定着していない子どもです。また、その学級には特別支援学級に在籍する児童もいます。単元は掛け算で、「1辺の長さが2cmの正方形があります。周りの長さは何cmになりますか。」という問題を取り上げました。これを解いていく中で方眼用紙を2cmの正方形に切る作業を入れたいと思いました。この問題文の中の「辺」「正方形」「周りの長さ」「2cm」といったことばをもう一度確認するために、いろんな形を見せて正方形はどれかを確認する、周りの長さは紙をおいて実際に周りを歩かせ、動くことで体得できるようにするなどの方法を考えました。正方形に切る際には、2cmは方眼用紙の2マス分だということを書いてから切って、自分の切ったどこが辺かということを触って確認するというのも考えました。そのあと、AU(b-1)にあるように、「辺がいくつか考えましょう」という言葉を投げかけて4つあると分かり、AU(c-5)にあるように「どんな特徴がありますか。」と聞いて、「全部、同じ長さです」というのが出てきたらいいと思います。その上で「何算で、同じ長さです。2cmです。」「では、何算で計算できますか。」「掛け算です。」「何の段ですか。」「2の段です。」というふうにできたらいいなと思いました。

【参加者の感想】

 導入の場面で体験を入れて、言葉を習得させたり、先ほど説明があったような実際にやってみたりしました。以前「授業のユニバーサルデザイン」の算数の授業をみせていただいたとき、使うところを間違えてしまうと、「できる子」が退屈して最終的に全員力伸びないことがあるとききました。JSLの考えを使うにも考えなければならないと思いました。

【講師から】

 この分科会では、「算数科の文章問題をどのようにわかりやすく伝えるか」をテーマとして進めました。具体的には、「日本語を分かりやすく置き換える。」「効果的な具体物を取り入れる。」「既習事項を生かすことのできる授業展開をくむ。」「わかりやすく伝えるために、AUをよく学び共通した言葉を多用する。」等々たくさんのアイデアが出ました。

 さらに、その上で参加された先生方が、どうしたらJSLを具体的に授業に取り入れられるかをそれぞれの立場で考えられました。

 「学校全体の校内研修として」「初めて受け持った日本語学級担任として」「現在自分の受け持っている教科(算数以外でも・・)」「教育委員会の立場として」と自分自身の明日からの授業(実践)としてこの研修会の生かし方を具体的に考え、語り合っていく姿に身の震える思いがしました。

熱意あふれる、分科会になったことに感謝申し上げます。

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平成26年度 第2回JSL研修の分科会報告(今澤先生)

日本語A:今澤先生

【授業づくり】

 今澤チームはJSLカリキュラムの基本的な考え方と授業作りについてしっかり学ぼうということで、授業を作るというよりは授業を作るためにどうしていくかについてお話を伺いました。

 初めに今澤先生が中国語で授業をしてくださって、私は何を言っているのか全く分からなかったのですが、子ども達はきっとこんな気持ちなんだなと体感しました。もやもやしたというか、時間が止まったような気がしました。そして、JSLカリキュラムを使って授業を作っていく時の目標はその子どもたちが在籍学級で豊かな生きた学びの時間を過ごせるようにしていくことであると学びました。私がさきほど体感したような「止まった時間」を1時間、1日、何か月、何年と過ごしていく子供たちが、少しでも生きた学びができるようにするためには、私たちに何ができるかを考えました。

 理科に例に挙げると、最後にまとめが載っているのですが、そのまとめに何度も出てくる言葉や大切な文を取り出して、子ども達にどのように指導して行くかを考えました。昆虫について学ぶ単元では、まとめに、「昆虫の成虫の体はどれも、頭、胸、腹からできていて、足が6本あります。昆虫の体の形や、動き方は種類によって違います。」とあります。ここでは例えば、「○○は昆虫ですか。」と聞き、「はい、○○は昆虫です。」と答えさせます。この○○の部分に、カブトムシやアリ、チョウなどの昆虫の名前を入れることで、昆虫はこういう仲間がいるんだ、こういう言い方をすればいいんだ、ということが学べます。あとは、「○○は足が6本です。だから昆虫です。」という風に、昆虫は足が6本だから昆虫というんだ、ということをその文型を通して学ぶことができると知り、私はとても画期的だなと思いました。

【参加者の感想】

 教科書上だけではなく、やっぱり話しながら、具体物を使ったり、絵を描かせたり、粘土で作らせたりするというのが大変勉強になりました。

【講師から】 

「JSLの授業づくり」を基礎から考えていこうというグループでした。私の方からJSL授業づくりについて、簡単におさらいの話をしてから、授業の目標(教科の目標、日本語の目標)やターゲットになる語彙や表現、目標を達成するための理解支援・表現支援やおもなやりとりなどを、実際の教科書(算数、理科を中心に)を例にみんなで考えました。子どもたちはほとんどの時間を在籍学級で過ごしているので、「在籍学級に生きる指導」が大切です。在籍学級の授業の時間が「生きた学びの場」になるよう、これからも共にJSLの授業づくりをがんばっていきましょう!

 

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平成26年度 第2回JSL研修の分科会報告(近田先生)

国語A:近田先生

【授業づくり】

(国語)小学校4年生の「ごんぎつね」の題材について2グループに分かれて授業案を考えましたので、それぞれのグループで考えた内容を簡単に紹介します。

 1つ目のグループは、「ごんぎつね」の全ての時間を取り出し指導で行うことを想定して考えました。「ごんマンガ」を作ろうという活動を設定して、登場人物への関心を高め、教材文を読む意欲を持たせることにしました。教師が場面ごとに吹き出しをつけたさし絵を準備します。その吹き出しに子どもたちがごんの気持ちを想像して書いていくのです。全部書くのは大変なので、例えば、「ある秋のことでした」などの場面を表すような言葉や気持ちを表す言葉を、あらかじめ教科書から抜き出してヒントカードとして用意しておきます。子どもたちは、それを見て言葉を書いたりカードを貼ったりしながら、「ごんマンガ」を作っていきます。このように、ごんの気持ちを考えてふきだしに書く活動を通して、国語科の目標として設定した「場面の移り変わりや登場人物の気持ちに注目して、それらを想像しながら、読んでいく」ことに迫ることができるようにしたいと考えました。

 

 2つ目のグループは、先程のグループと違って、単元の一部の時間だけをことを想定して授業案を考えることにしました。今回は「ごんぎつね」の4の場面の紙芝居をつくろうという活動の目当てを設定しました。ここでおさえることは、いつ、どこで、だれが、なにをした、どんな気持ちか、ということです。まず紙芝居に使うさし絵を見せて、「ごんは何をしていますか」、と聞くと、「何かとっている」、と言います。「うなぎ」という言葉を知らないので、その言葉をおさえます。またここでは、ごんは楽しい気持ちだが、兵十は「うわ、盗人狐め」と言って、怒っているという、両者の気持ちの違いを子どもたちに掴ませたいなと思いました。最後に分かったこと(いつ、どこで、だれが、どうした、何と言ったか)を書いた紙を絵の裏側に張り、紙芝居にして読んでみることにしました。こちらが読んだり、子どもが読んだりして役割を交代しながら繰り返すことで、ごんの気持ち、兵十の気持ちがより確かに理解できるようにしたいと考えました。また、地域によって使用する教科書が異なるために、さし絵のイメージから受ける印象がずいぶん違うということにも留意する必要があることに気づきました。

【参加者の感想】

 私は初任者で日本語学級の担当になり自信がないので、指導書の内容を全部教えなければならないと思ってしまい、しつこく教えてしまう傾向がありました。そうすればそうするほど、子どもが理解できない、くどい授業になっていると自分でもずっと思っていました。日本語学級にきているということは、まだ語彙が少なく日本語の表現にも慣れていないということなので、教師が指導内容の大事なことをきちんとと押さえて、その内容や言葉を精選して教えることが非常に重要だと思いました。 

【講師から】

 熱心であればあるほど、あれもこれも教えてあげたいという気持ちがはやるのは、自然な感情だと思います。特に初任の先生方にとっては、多様な子どもたちの個々の成長について見通しをもつことが難しく、教材研究も何から手をつけてよいか困ってしまいます。今回は、JSLの授業づくりは初めてでも教員としての経験豊富な方々も参加されていました。そのご経験からの示唆も伺うことにより、国語科として大事にしなければならないポイントを外さず、目標設定をすることができたと思います。

 また、「ごんぎつね」は、外国人児童には、昔話特有の難しさも重なって、読むことは非常に難しい教材です。しかし、「ごんマンガ」や「紙芝居」という表現活動を設定することで、「意欲を掻き立てる学習活動」を工夫することができました。さらに「言葉のコントロール」「ショートステップ」「意味のある繰り返し」などの支援をその活動の中に効果的に取り入れていました。このように、一つの表現活動を設定することで、多様な支援がばらばらに作用するのではなく、全体として意味のあるものになり、子どもたちの学びを促すのだと考えます。このような学びが、言葉の力が十分でないことどもにも「分かった、できた」という喜びとなり、次の学びへの意欲につながると思います。表現活動も支援方法も、上記の例に限らず様々です。紹介された例をヒントに、各地で個々の実態に合わせた授業を創造し、そして、それらの実践をまた皆さんと共有して、私たちも学び続けていけたらと願います。

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平成25年度 第3回JSL研修の分科会報告

市川班

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今澤班

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近田班

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濱村班

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平成25年度 第2回JSL研修の分科会報告

市川班

  1. 市川先生からPower Pointを用いてトピック型の学習内容についてもう一度基礎学習。その後、4人が2手に分かれて、実際に指導案作り。

①     一つは2年生3名、一年生を迎える会を成功させようというテーマ。二年生の子ども達に進級の喜びを、活動を通して味わわせたい。新一年生の子ども達に自分たちが一年間学んで得たことを生かし、今年の一年生が学校生活できるように作成。体験活動は、写真などを見て自分たちの一年間を振り返る活動、そして自分たちがしてもらって嬉しかったことを振り返り新一年生にメッセージカードを作る活動。どんな願いを持って新一年生に届けたいのか、をしっかり考えながら行うことを念頭に、指導案を作成。

 

②     もう一つは新一年生のわくわくどきどき運動会。一年生二名が対象。小学校入学して初めて運動会を迎えるという想定だが、ルールも運動会自体もわからないかもしれない。そこで、今回は特に綱引きに焦点を当て、自信を持って練習に取り組むことが結果として、みんなとの楽しい思い出に残る運動会になるのではないかという流れを考えた。具体的にはDVD、VTRなどで実際のシーンを見て、そこから何をしているのかを考え、まずは棒を一年生同士でひっぱる。次に実際に綱引きの綱を見て、その綱を通して先生とその二人で引っ張り合いをやる。そのことで本物の綱の感触や重さなどを感じ、先生とやることを通しておそらく意欲的になると考えられる。そこからどうしたら勝てるか、あるいは楽しくできるのかという作戦を考える。

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今澤班

  1. 今澤グループは高校の先生二人と、小学校の先生一人で、幅広い子どもたちを対象にした。また、JSL超初心者グループなので、色々な事例をどう考えるか十幾つの事例で考えたので、一つのものを作り上げていない。したがって以下の発表は感想である。

l  初めに中国語の授業があり、外国人として初めて授業を受けたらこのように何にもわからないのだろうという体験をした。それから色々な事例を紹介された。例えば日本語を目的として教えるときに、教科書のもとの文章の中でエッセンスをどうやって抽出していくか、リライトをしていくといったようなことや視覚化の効果について話があった。

l  先生が中国語で授業をされたのを聞いて、呆然とした。この様に子供たちは毎日過ごしているのだと、改めて自分が実感。帰ったらまず子供たちの気持ちに寄り添って授業を取り出してみたい。

l  やはり普通学級についていくことを意識して、そのために必要な手立てを講じるべき。教科書の文なども、日本人ならば何気ない躓かない文章であっても、外国人であれば意味の分からない表現が多い。したがって短く切ったり、分かりやすい文章で教えていったりということの大切さを知った。  

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大菅班

  1. 1、2年生の低学年の子を持っているグループ。大菅先生の方から日本語初期指導の留意点として、大人が学習する場合と子どもが学習する際には違う、特に低学年は学習の必然性を取り入れて学習を進めていかなければいけない、という話を伺った。

 

  1. 授業づくりはトピックということで、遠足前の指導を想定。45分の中身は、導入時は5分間のお喋り。あとはひらがな学習を入れ、ここから遠足を意識して「行ったことがある・ない」の文から、動物園、公園、遊園地などの絵・カードなどを使いながら、遠足の話を導入していく。遠足の学習については二時間を想定。遠足にはルールや持ち物など色々あるが、遠足が楽しいというのをわかってもらえること、仲よく遊べることに主眼を置いた。「遠足は何」という形で大体15分~20分意識して行い、最初に遠足の行程を知らせる。縦割りの全校遠足を想定しているので、昨年の写真を見ながら流れを教えた後、遊ぶ場面があるので遊びの紹介をする。六年生が遊びを計画しているので、その遊びのやり方の教えていくようにした。「だるまさんがころんだ」と「はないちもんめ」を想定。遊びに使うことばをその中で絵や身振りなどを使いながら教えると期待を持って遠足を楽しいと思うような伝わる学習になると予想。

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小川班

  1. 小川先生の経験から様々な教材や、指導の中での工夫の話をたくさんいただいた。グループは日本語学級を担当や、外国人児童生徒の支援のサポーターというメンバーだった。小川先生からいただいた資料を基に、これから実践をやっていこうという話になった。
  2. 参加者の経験談から、しおり、行事を活用した日本語指導ができるのではないかと話し合いをした。しおりの言葉は子どもには難しい部分があるので、それを指導していく。しおりのリライトをするのはどうか、という話が出たが、重要な言葉がたくさんあるのですべてを簡単にしてしまうのではなく、それ以降の行事にもつながるような、学校の中で出てくるような言葉に関してはここで押さえる。しおりを読み、漢字を練習する。小川先生からはテストの受け方を例に、テストの注意事項を書いたプリントに振り仮名を振ったり、読解をしたりしていくという資料を提供していただいた。日本語の指導としては「~してはいけない」「~しなくてはいけない」が頻繁に出てくるので、日本語の文法的な部分の学習も行える。参加後も体験を通してどのような思いしたかを生徒自身から出させ、最終的には、それを作文にしたり、その作文をもとに学校通信などで情報を発信したりする場面があっていい。グループメンバーの先生方も色々な失敗があって、失敗を機に彼らがつらい思いをし、さらには行事に参加しなくなる子供がたくさんいるということだった。

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近田班

  1. 最初に先生の方から、先生がされた国語の実践について説明があった。
  2. 国語の4年生の説明文、『ウナギの謎を追って』という説明文の指導案。想定する子どもは、フィリピンから編入してきて1年。音読はできても国語の趣旨、内容を理解することがやや難しいという子供である。日本語の目標は、興味や関心を表す日本語を使って表現できるということ。ウナギは遠いフィリピンのマリアナの海のあたりで生まれるが、それを子ども自身の体験と結びつけたい。二グループに分かれて、4時間扱いの1時間の授業を考えた。

l  Aグループ:最初に本物のウナギを見せたり、動画や料理されたものを見せたりして、ウナギがどういうものなのか知る。インパクトを与え、興味をもたせる。そのあと地図を見てどこで生まれるかを確認、実際にウナギの赤ちゃんを見せる。フィリピンの話などをしたりして、地図に興味を持ってもらう。さらにウナギの赤ちゃんが生まれる場所を知るために本文を読んで理解し、それを地図の上で赤ちゃんうなぎの動きを追う。漢字や意味、理解できない子どもにはリライトしたり、振り仮名を振ったりなど配慮をして進めいく。

 

l  Bグループ:まずウナギと大きく黒板に板書し、カタカナを読む活動から入る。3択クイズでウナギの実態について導入。本人が何に興味関心をもっているかにより写真等の選択をし、ウナギの外見、長さ、大きさがどのくらいかを教える。または、居住場所で、例えば木の上、水の中、土の中等、簡単な漢字も扱いながら取り上げる。「~に住んでいる」という言い方を使い、言葉についても確認する。その際は、ワークシートも活用して読みの作業も取り入れる。また、ホースなどを使い、実際のウナギの感覚も紹介できればいい。さらに位置の確認のため、出来るだけ大きな世界地図を使う。教科書の74ページに小さい図があるが、それと関連させながら、どのあたりのことが書いてあるのかを確認する。対象児は、フィリピンからきているのでこの海は実はフィリピンの海だと、本人に関心を持たせ問いかけを使い、内容を大まかにつかんで、卵やウナギの赤ちゃんなどというキーワードを確認させ、授業に繋げようと設定した。

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濱村班

  1. 最初に、先生が実際に行った授業の様子、映像、写真などや、教具などを見せて頂き、どの様にこのJSLカリキュラムを使って授業をされているかを学んだ。
  2. その後、光村図書の3年の『気になる記号』をもとに授業の組み立てを学んだ。この教材の利点は町で記号調べの活動ができる、生活の中にある記号に気づくことができる、日本の記号を知り生活に役立てることができる、形、色、大きさなどの語彙を増やすことができるなどである。また、自分の国の記号を紹介できるという点があげられた。

 

  1. 国語の目標は「調べて分かったことや、考えたことを書くことができる」。3年生で出てきた「段落にわけて書くことができる」という部分も児童によってはできると考えた。日本語の目標は、教えたい文の形として「~で見つけました」。それから、形や色や大きさ、場所の名前もこれで学習できると考えた。また、「~を示しています」などの報告書に使われる言葉、記号を比べ、似ているところや違うところを言う、感想の言い方なども『気になる記号』で学習したい。

 

  1. 対象の児童は、(日本語は)少し話せるが、読んだり書いたりができない非漢字圏の3年生の2、3人を想定した。

  1. 支援としては、まず身近なところ、町や家の中からの写真を撮ってくること、そのうえで、色とか形とか大きさをポストイットで分類したり、言葉を提示したりすること、記憶支援として、くもんのマークカードを使ったり、簡単な家の地図というか図を書いたり、町の地図を書いて用意しておくこと、表現支援としては、文型の提示とか聞き取りとか分類表を使うということ。意欲を高める情意支援としては、外に出て実際に町を探検し、集める。その時に、町の人や警察官、他人と少しコミュニケーションをとって、マークのあるところを聞くことも可能だと思われる。家の中にあるものも自分で探せるし、家の人に尋ねることもできる。色々なところで探検したり、コミュニケーションをとったりするということで意欲を高める支援ができる。

  1. 考えられるワークシートは、形の言葉、色、場所や数、その意味も話し合って書くことも可能である。大変だったことを書くための文型を準備し、感想を書きやすくして書かせるという支援も考えられる。

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傍士班

  1. 今日の午前中の講義にあったJSLカリキュラムのトピック型と若干教科志向型も含んだ指導案を考えた。
  2. まず、この学校の敷地の航空写真で、この校庭に100mのコースを作るということができるかどうかを子供に判断させる、6年生の算数の単元の拡大と縮図、拡大図、縮図の部分で指導案を考えた。トピック型の授業の流れとAU、それがどのような支援方法があるかを、体験、探究、最後に発信に基づいて考えた。非漢字圏で、来日1年程度の初級のあたりが終わるかどうかの子どもを想定した。
  3. 拡大と縮小の学習の流れとして、まず「長い」「短い」という概念が入っているかを確認し、実測する。それにより「cm」や「m」という概念が入っているかを確認する。次に、身の周りものや、身長を図ったりすることで、今度は「cm」と「m」の関係を確認する。そこで、定規や巻尺、リボン等を使用して実測する。先ほどの航空写真を出し、この写真を実際に測ってみる。ここで、「長さは何センチですか」という文型や、距離という言葉、「測ります」、「測りましょう」、「測る」という長さに限定した語彙を入れなければならないので、支援の方法として、実際に測るたびに結果を何度も発話させ、身の回りのものから次第に大きいものを測るという体験をしてみる。
  4. 先ほどの航空写真を見ながら写真上で測る。写真上のプールの長さは2センチだが、実際のプールについて「プールの長さはどのくらいですか」と聞いても2センチと答える可能性もあると聞いた。したがって「cm」と「m」の概念を確認し、外で実際に実測し、長さの概念を捉えていく。そのうえで探究の部分を行う。教室に戻ってから、「体験」で記入したワークシートを使用し、それぞれ数値を発表させる。今度は写真を見て、プールが25メートルというところに気づかせ、ここは地図上では2センチだが、実際は25メートルということに気づきが行くよう、教師も長さを答えさせたり、地図とワークシートのここの部分を比べさせたりする。
  5. 教師が支援をしながら、とにかく子供に気づかせる、個々の能力に応じることが大切。最後に発信だが、校庭に100メートルのコースを引けるかどうかを記入し、長さの概念を確認しながら、実際にできるという体験を通して、気づきを促す。
  6. 今日午前中にご紹介頂いた学習の流れ、それに伴うAU、それと我々がどう具体的に支援していったらいいかの支援方法、この3本立てを全部の体験、探究、発信の流れで考えた。今回、この実際の授業の指導案を作ってみることで授業の流れとか作り方といったものを実体験としてできた。

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