JSL研修報告

平成25年度 第2回JSL研修の分科会報告

市川班

  1. 市川先生からPower Pointを用いてトピック型の学習内容についてもう一度基礎学習。その後、4人が2手に分かれて、実際に指導案作り。

①     一つは2年生3名、一年生を迎える会を成功させようというテーマ。二年生の子ども達に進級の喜びを、活動を通して味わわせたい。新一年生の子ども達に自分たちが一年間学んで得たことを生かし、今年の一年生が学校生活できるように作成。体験活動は、写真などを見て自分たちの一年間を振り返る活動、そして自分たちがしてもらって嬉しかったことを振り返り新一年生にメッセージカードを作る活動。どんな願いを持って新一年生に届けたいのか、をしっかり考えながら行うことを念頭に、指導案を作成。

 

②     もう一つは新一年生のわくわくどきどき運動会。一年生二名が対象。小学校入学して初めて運動会を迎えるという想定だが、ルールも運動会自体もわからないかもしれない。そこで、今回は特に綱引きに焦点を当て、自信を持って練習に取り組むことが結果として、みんなとの楽しい思い出に残る運動会になるのではないかという流れを考えた。具体的にはDVD、VTRなどで実際のシーンを見て、そこから何をしているのかを考え、まずは棒を一年生同士でひっぱる。次に実際に綱引きの綱を見て、その綱を通して先生とその二人で引っ張り合いをやる。そのことで本物の綱の感触や重さなどを感じ、先生とやることを通しておそらく意欲的になると考えられる。そこからどうしたら勝てるか、あるいは楽しくできるのかという作戦を考える。

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今澤班

  1. 今澤グループは高校の先生二人と、小学校の先生一人で、幅広い子どもたちを対象にした。また、JSL超初心者グループなので、色々な事例をどう考えるか十幾つの事例で考えたので、一つのものを作り上げていない。したがって以下の発表は感想である。

l  初めに中国語の授業があり、外国人として初めて授業を受けたらこのように何にもわからないのだろうという体験をした。それから色々な事例を紹介された。例えば日本語を目的として教えるときに、教科書のもとの文章の中でエッセンスをどうやって抽出していくか、リライトをしていくといったようなことや視覚化の効果について話があった。

l  先生が中国語で授業をされたのを聞いて、呆然とした。この様に子供たちは毎日過ごしているのだと、改めて自分が実感。帰ったらまず子供たちの気持ちに寄り添って授業を取り出してみたい。

l  やはり普通学級についていくことを意識して、そのために必要な手立てを講じるべき。教科書の文なども、日本人ならば何気ない躓かない文章であっても、外国人であれば意味の分からない表現が多い。したがって短く切ったり、分かりやすい文章で教えていったりということの大切さを知った。  

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大菅班

  1. 1、2年生の低学年の子を持っているグループ。大菅先生の方から日本語初期指導の留意点として、大人が学習する場合と子どもが学習する際には違う、特に低学年は学習の必然性を取り入れて学習を進めていかなければいけない、という話を伺った。

 

  1. 授業づくりはトピックということで、遠足前の指導を想定。45分の中身は、導入時は5分間のお喋り。あとはひらがな学習を入れ、ここから遠足を意識して「行ったことがある・ない」の文から、動物園、公園、遊園地などの絵・カードなどを使いながら、遠足の話を導入していく。遠足の学習については二時間を想定。遠足にはルールや持ち物など色々あるが、遠足が楽しいというのをわかってもらえること、仲よく遊べることに主眼を置いた。「遠足は何」という形で大体15分~20分意識して行い、最初に遠足の行程を知らせる。縦割りの全校遠足を想定しているので、昨年の写真を見ながら流れを教えた後、遊ぶ場面があるので遊びの紹介をする。六年生が遊びを計画しているので、その遊びのやり方の教えていくようにした。「だるまさんがころんだ」と「はないちもんめ」を想定。遊びに使うことばをその中で絵や身振りなどを使いながら教えると期待を持って遠足を楽しいと思うような伝わる学習になると予想。

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小川班

  1. 小川先生の経験から様々な教材や、指導の中での工夫の話をたくさんいただいた。グループは日本語学級を担当や、外国人児童生徒の支援のサポーターというメンバーだった。小川先生からいただいた資料を基に、これから実践をやっていこうという話になった。
  2. 参加者の経験談から、しおり、行事を活用した日本語指導ができるのではないかと話し合いをした。しおりの言葉は子どもには難しい部分があるので、それを指導していく。しおりのリライトをするのはどうか、という話が出たが、重要な言葉がたくさんあるのですべてを簡単にしてしまうのではなく、それ以降の行事にもつながるような、学校の中で出てくるような言葉に関してはここで押さえる。しおりを読み、漢字を練習する。小川先生からはテストの受け方を例に、テストの注意事項を書いたプリントに振り仮名を振ったり、読解をしたりしていくという資料を提供していただいた。日本語の指導としては「~してはいけない」「~しなくてはいけない」が頻繁に出てくるので、日本語の文法的な部分の学習も行える。参加後も体験を通してどのような思いしたかを生徒自身から出させ、最終的には、それを作文にしたり、その作文をもとに学校通信などで情報を発信したりする場面があっていい。グループメンバーの先生方も色々な失敗があって、失敗を機に彼らがつらい思いをし、さらには行事に参加しなくなる子供がたくさんいるということだった。

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近田班

  1. 最初に先生の方から、先生がされた国語の実践について説明があった。
  2. 国語の4年生の説明文、『ウナギの謎を追って』という説明文の指導案。想定する子どもは、フィリピンから編入してきて1年。音読はできても国語の趣旨、内容を理解することがやや難しいという子供である。日本語の目標は、興味や関心を表す日本語を使って表現できるということ。ウナギは遠いフィリピンのマリアナの海のあたりで生まれるが、それを子ども自身の体験と結びつけたい。二グループに分かれて、4時間扱いの1時間の授業を考えた。

l  Aグループ:最初に本物のウナギを見せたり、動画や料理されたものを見せたりして、ウナギがどういうものなのか知る。インパクトを与え、興味をもたせる。そのあと地図を見てどこで生まれるかを確認、実際にウナギの赤ちゃんを見せる。フィリピンの話などをしたりして、地図に興味を持ってもらう。さらにウナギの赤ちゃんが生まれる場所を知るために本文を読んで理解し、それを地図の上で赤ちゃんうなぎの動きを追う。漢字や意味、理解できない子どもにはリライトしたり、振り仮名を振ったりなど配慮をして進めいく。

 

l  Bグループ:まずウナギと大きく黒板に板書し、カタカナを読む活動から入る。3択クイズでウナギの実態について導入。本人が何に興味関心をもっているかにより写真等の選択をし、ウナギの外見、長さ、大きさがどのくらいかを教える。または、居住場所で、例えば木の上、水の中、土の中等、簡単な漢字も扱いながら取り上げる。「~に住んでいる」という言い方を使い、言葉についても確認する。その際は、ワークシートも活用して読みの作業も取り入れる。また、ホースなどを使い、実際のウナギの感覚も紹介できればいい。さらに位置の確認のため、出来るだけ大きな世界地図を使う。教科書の74ページに小さい図があるが、それと関連させながら、どのあたりのことが書いてあるのかを確認する。対象児は、フィリピンからきているのでこの海は実はフィリピンの海だと、本人に関心を持たせ問いかけを使い、内容を大まかにつかんで、卵やウナギの赤ちゃんなどというキーワードを確認させ、授業に繋げようと設定した。

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濱村班

  1. 最初に、先生が実際に行った授業の様子、映像、写真などや、教具などを見せて頂き、どの様にこのJSLカリキュラムを使って授業をされているかを学んだ。
  2. その後、光村図書の3年の『気になる記号』をもとに授業の組み立てを学んだ。この教材の利点は町で記号調べの活動ができる、生活の中にある記号に気づくことができる、日本の記号を知り生活に役立てることができる、形、色、大きさなどの語彙を増やすことができるなどである。また、自分の国の記号を紹介できるという点があげられた。

 

  1. 国語の目標は「調べて分かったことや、考えたことを書くことができる」。3年生で出てきた「段落にわけて書くことができる」という部分も児童によってはできると考えた。日本語の目標は、教えたい文の形として「~で見つけました」。それから、形や色や大きさ、場所の名前もこれで学習できると考えた。また、「~を示しています」などの報告書に使われる言葉、記号を比べ、似ているところや違うところを言う、感想の言い方なども『気になる記号』で学習したい。

 

  1. 対象の児童は、(日本語は)少し話せるが、読んだり書いたりができない非漢字圏の3年生の2、3人を想定した。

  1. 支援としては、まず身近なところ、町や家の中からの写真を撮ってくること、そのうえで、色とか形とか大きさをポストイットで分類したり、言葉を提示したりすること、記憶支援として、くもんのマークカードを使ったり、簡単な家の地図というか図を書いたり、町の地図を書いて用意しておくこと、表現支援としては、文型の提示とか聞き取りとか分類表を使うということ。意欲を高める情意支援としては、外に出て実際に町を探検し、集める。その時に、町の人や警察官、他人と少しコミュニケーションをとって、マークのあるところを聞くことも可能だと思われる。家の中にあるものも自分で探せるし、家の人に尋ねることもできる。色々なところで探検したり、コミュニケーションをとったりするということで意欲を高める支援ができる。

  1. 考えられるワークシートは、形の言葉、色、場所や数、その意味も話し合って書くことも可能である。大変だったことを書くための文型を準備し、感想を書きやすくして書かせるという支援も考えられる。

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傍士班

  1. 今日の午前中の講義にあったJSLカリキュラムのトピック型と若干教科志向型も含んだ指導案を考えた。
  2. まず、この学校の敷地の航空写真で、この校庭に100mのコースを作るということができるかどうかを子供に判断させる、6年生の算数の単元の拡大と縮図、拡大図、縮図の部分で指導案を考えた。トピック型の授業の流れとAU、それがどのような支援方法があるかを、体験、探究、最後に発信に基づいて考えた。非漢字圏で、来日1年程度の初級のあたりが終わるかどうかの子どもを想定した。
  3. 拡大と縮小の学習の流れとして、まず「長い」「短い」という概念が入っているかを確認し、実測する。それにより「cm」や「m」という概念が入っているかを確認する。次に、身の周りものや、身長を図ったりすることで、今度は「cm」と「m」の関係を確認する。そこで、定規や巻尺、リボン等を使用して実測する。先ほどの航空写真を出し、この写真を実際に測ってみる。ここで、「長さは何センチですか」という文型や、距離という言葉、「測ります」、「測りましょう」、「測る」という長さに限定した語彙を入れなければならないので、支援の方法として、実際に測るたびに結果を何度も発話させ、身の回りのものから次第に大きいものを測るという体験をしてみる。
  4. 先ほどの航空写真を見ながら写真上で測る。写真上のプールの長さは2センチだが、実際のプールについて「プールの長さはどのくらいですか」と聞いても2センチと答える可能性もあると聞いた。したがって「cm」と「m」の概念を確認し、外で実際に実測し、長さの概念を捉えていく。そのうえで探究の部分を行う。教室に戻ってから、「体験」で記入したワークシートを使用し、それぞれ数値を発表させる。今度は写真を見て、プールが25メートルというところに気づかせ、ここは地図上では2センチだが、実際は25メートルということに気づきが行くよう、教師も長さを答えさせたり、地図とワークシートのここの部分を比べさせたりする。
  5. 教師が支援をしながら、とにかく子供に気づかせる、個々の能力に応じることが大切。最後に発信だが、校庭に100メートルのコースを引けるかどうかを記入し、長さの概念を確認しながら、実際にできるという体験を通して、気づきを促す。
  6. 今日午前中にご紹介頂いた学習の流れ、それに伴うAU、それと我々がどう具体的に支援していったらいいかの支援方法、この3本立てを全部の体験、探究、発信の流れで考えた。今回、この実際の授業の指導案を作ってみることで授業の流れとか作り方といったものを実体験としてできた。

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平成25年度 第1回JSL研修の分科会報告

今澤先生

課題を出しあい、アドバイスをしあって、学習を深めていきました。

その中で、勉強になったことを取り上げます。

一つは、しっかりとした実態をつかむということ。ここでは、勇気がいることではありますが、子どもたちの在籍する教室に入り授業の中で担当する子供の様子を見、今どんな指導が必要なのかを模索するということでした。

もう一つは、機器を利用するということ。

コミュニケーションが取れなくて悩んでいる方に対して、「iPodのアプリ(トランスレーター)を使っては?」という提案がありました。文字も音声もあるので、母語の文字が読めない子も音声で使うことができます。頼りすぎるのは問題がありますが、簡単な言葉ならばコミュニケーションが取れます。

また、「コミュニケーションに悩んでいるので、その子の母語を自習しているがなかなかコミュニケーションが取れない」という方がいました。これに対し、子供たちは自分の母語を先生が勉強してくれるということだけでもとてもうれしいと思うのではないか」という意見も出ました。


大菅先生

色々な体験談がありますが、一番大事なことだと話していたのは目標です。

日本語指導の目標、その子の目標、いろいろな目標があります。「そういう目標をきちんと保護者と担任と日本語指導担当とが共有し、同じ視点で指導に当たるということが大事」という話がとてもよかったです。

「教材のこと」「母語を使った方がいいのか」など色々な意見が出ました。けれど、一番良かったのは、普段会えない色々な地域の方々が情報交換できたという点です。

子供たちの指導に関わって20年経ちますが、最初の頃は一人でどうしていいか分からなくて、手当たり次第近くの研修会や授業公開に出かけていました。その中で、いろいろな先生方と出会いました。「こういう時にどうしたらいい」というような悩みを相談したり、いい教材を紹介していただいたり、ネットワークがどんどん広がっていきました。本日参加されたことがネットワークの第一歩です。なので、色々な機会に連絡を取り合い、「一人でやってるんじゃない」「みんなおんなじ悩みを持って頑張っている」という気持ちで子どもたちと向き合っていくのがいいです。


小川先生

クラスの中で友達とつながれる、いろんな学習が一緒にできる、教科の授業が分かる。それと結びつく日本語指導を作ってきた教材をお見せしながら話をしました。

そこで、「これは英語で使えます」「教科の間を超えていろんなものが作れます」という話をしました。「担当の子どもがどうやったらやる気が出るか」「何に困っているのか」をよく見ながら手元にできるだけ近いところにあるもの(教科の先生からワークシートを借りたり、それを少し手直ししたりして、分かるようにしていく)そういう工夫をしていくと、大変だけれども作り出す仕事があります。

例えば、修学旅行の事前学習や小学校の運動会が日本語の学習にどうつなげられるか。教室に自分は居ていいと思えるような活動づくりをしていくことを考えました。

それからもう一つ、中学生に大事なのが、学び方を学ぶということです。困った時に、方法を考えてそれを解決できるようにする。そのために、親切になりすぎず、むしろ自分が材料となって生徒が困ったときの対応を学べるような学習の場づくりをしていけばいいのではないでしょうか。

あとは、何かを話したくなる材料をぶつけ、喋りたくなるきっかけを与える。そういう活動の中から勉強していけば、教えたはずの文型が定着しないような学習ではなく、言いたいことが言えるようになるという前向きの学習になるのではないでしょうか。


近田先生

「初めてだから不安です」、「立ち上げたばかりだから不安です」、「教員が初めてです」というところから始まりました。でも皆さん、課題として、本当にJSLそのものを的確に挙げていました。そこに教員の素晴らしさがあります。教職のプロとしての先生方の力量というものがひしひしと感じられました。実態把握・ニーズ・計画等について具体例を持って話をするうちに、先生方ができそうだという表情に変わったのが何より嬉しかったです。

最後バタバタと終ってしまいました。しかし、二つ印象的な言葉がありました。

一つは、「楽しくできるということ」です。まず先生方が楽しい活動を想像して組み立ててください。先生方が楽しむことで、心地よい学び、意味のある学びというのがそこで生み出されていきます。楽しさの根源は、日本語学級だけで孤立して悩むのではなく、在籍学級との学びをリンクさせること。そうすることで学習の効果は上がると、参加された先生が言ってくださったことに、非常に励まされました。

もう一つの大事な言葉は、「一人だけでなく話し合える場があるといい」です。一人で抱え込むと煮詰まってしまったり、発想が偏ったりしてしまいます。「つながり」と強調されていましたが、このような場を生かし、ネットワークを作って、これからも共に学んでいきたいです。


西村先生

キーワードは目標設定でした。目標設定は、何回も折に触れて出てきました。それぞれの立場からの悩み(学級担任の先生との連携の悩みや指導面での悩みなど)が挙がりました。しかし、結局は目標設定。この子にどんな力をつけたらいいかにいつもたどり着きます。目標がはっきりしていれば、教科の指導であっても、初期指導であっても、最適な教材を準備できます。

例に出てきたのは、「どちらがどれだけ重いでしょう」というのを「分からないよね」っていうのではないということです。子供にどんな力がつけられるか。日本語の力だったら比較(比較するためにその文を二つに区切ってあげる)。そういうところが、お互い実践を合わせて考えると目標設定に全部なります。

それから、子供が日本でこれから先も生きるのか、それとも母国に帰ってしまうのか。それによっても、その子の将来に対する目標設定も違うのではないかという話も出ました。

おうちの方がどんな願いを持っているかでも目標設定は変わってくるでしょう。そうすると今度は連携(その子に関わる人が共通の目標に向かっていく)も重要になります。

私たち自身が日本語を指導していくという目標設定が先生方に夢を与え、先生方にやる気があるということが子供たちの将来を作っていくのではないでしょうか。今、そこに関わらせてもらっているのだなということを考えました。


濵村先生

先生方が色々なことに困っていて、すべてに適切な返答が出来たか不安です。「困っている」「勉強しなくちゃいけない」と思っているところに先生方の意欲を感じました。

課題は色々と出ました。しかし、一番の点は、子供が学習に向かう姿勢をどうやって育てるかということでした。いろいろな手を尽くしてやっているけれど、難しいということで、先生方の奮闘ぶりが伺えました。

その中で、坊主めくりを英語でした時のことが印象的です。先生方が英語で単語を言っていきます。その時に先生方が明るい笑顔になって英語を出そうとしている。子供たちに笑顔で勉強してもらうことが大事のではないか、ということを肌で感じました。

「笑顔がその場に生まれるように」「一言一言、愛をこめて、みなが、指導にあたっていければ」と感じました。

6歳の時に中国から引き挙げてきた先生がいました。当時、「周りが全然分からなかったから落ち着いて座れなかった」「追いつくのに10年かかった」ということを話してくださいました。

私たちが頑張って分かることを増やしていくことが、落ち着いて座らせる一歩だと実感いたしました。

 

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平成24年度 第1回JSL研修の分科会報告

近田分科会

現場での悩みを出し合う中で協議を深めた。子どもの実態がどの段階に当てはまるかを見て,コース設計をする。JSL指導で子どもの姿が変わると親,担任の意識も変わるので、地道に積み上げていくことが重要である。そのために

  1. 学校の中で多文化の子どもたちの共通理解の場を持つこと。他校からの通級の場合も、学校体制として担任との連絡会をもつことが有効である。
  2. 行事等で時間割通りにいかない場合は、朝、確認したり、実態把握のチャンスとしてとらえて学級での様子を把握したりする。
  3. 学力不振、場面緘黙等の事例は、実態把握に努め、一人で抱え込まず、相談特別支援コーディネーター、スクールカウンセラー、専門機関等に相談する。

という留意点を共有することができた。

佐藤分科会

本分科会は、学校管理職2名、指導主事3名、それに文科省国際教育課植村係長の6名の参加があった。まず、それぞれ解決したい課題について報告しあったが、(1)日本語指導の研修の持ち方、(2)中学から高校進学という進路保障、(3)日本語指導者等の人材確保、(4)学校の体制づくり、の4点に整理できた。この4点について、参加者同士でブレーンストーミングを行った。研修については、日常の授業改善と同様の工夫が必要なことが示された。進路保障については、制度上の改善と同時に、小学校の6年生くらいから日本の高等学校についての情報提供や進路形成にあたって役割モデルの重要性などが改めて確認された。日本語指導者等の人材確保については、各地域で状況が異なるため議論が深まらなかった。最後の論点である学校の体制づくりについては、管理職の役割が大きいことと、子どもの学習や発達などを核にして教員間や教員と日本語指導者との共同を作りあげることについて具体の方法を含めて議論がなされた。管理職や指導主事の先生方が熱心に研修に参加され、重要な情報交換の場にもなった。

小川分科会

本グループは、日本語教室担当者が日常の指導で抱えている課題や疑問を各自出し合い、検討し、課題の理解と解決を図った。参加者は、中学校の日本語指導(教室)担当者を中心に小学校の教員等であったが、まだ経験年数の短い先生方も多かったため、講師の実践事例から受講生は自校の課題と照らし合わせ考えている様子であった。

主な話題としては、(1)生徒への教材支援、サポートの仕方。(2)生徒の興味・関心を高める方法、授業の組み立て方(教材・カリキュラム開発)。(3)校内の指導体制の3点であった。

講師の小川先生の実践から、支援としては、(1)学校生活への適応支援、(2)日本語学習、(3)教科学習支援、(4)進路支援、(5)母語・母文化保持とアイデンティティ、(6)「仲間づくりとセルフエスティーム、(7)学校全体への働きかけと国際理解教育 が考えられる。このうち(1)〜(4)は、日本語担当教員が請け負うが、(5)~の視点も重要。

来日初期から、毎日2時間程度かかる分量の宿題を出す(家庭学習の習慣を崩さない)。また、数学、英語などはすぐに導入する。日本語自体の学習は、1年までを目安に。例)1週間でひらがな、カタカナまで。できるだけ早い段階で教科学習に移行し、その中で日本語を獲得していく。学校や学級の配布物(プリント類)を読解教材として活用。例)教科名、在籍学級の班員の名、時間割、各種お知らせプリント等。

漢字は、学年配当順ではなく、既習語彙から漢字に変換していくと効果的。

学習形態は、友達と学び合い刺激をうけるグループ学習が効果的。

「日本語はやさしく、内容は学年レベルで」日本語学習教室で学んだことが、教室の学習で生きることが喜びや意欲喚起に繋がる。

社会や理科は視覚教材が有効。歴史の指導は難しい。

自分自身で学ぶめあてをもたせること(設定すること)が意欲喚起には重要。

日本語学級通信を発行し、活動内容を広く通常学級の教員に周知する。等の紹介があった。

西村分科会

本分科会では、出席者の具体的な現状や悩みを基に話し合った。主なテーマは(1)日本の学校への適応やその指導、(2)日本語指導の方法、(3)体制づくり、(4)母語についての4点に集約される。中でも、「入り込みの指導のありかた」「家庭と学校の考え方の違い」にはさまざまな体験と意見が出された。「入り込み」では、入り込む側・一斉指導を担当する側双方の体験が語られ、子どものニーズに合わせて入り込みと取り出しを柔軟に使い分けることが重要で、それができる体制づくりが必要、という意見になった。また、学校と母国の考えの違いについては冷静に違いを見つめた上で、妥協点を見つけること、またそれを日本の子どもへの教育にも生かしていくことが望ましい、という結論になった。

中島分科会

参加者からは、日本語の初期指導の仕方、教科指導の仕方、取り出しでの指導の仕方(どのような子どもを取り出すのか、どの教科の時間に何時間取り出すのか、取り出した際の抜けた教科指導の補充をどうするのか、評価はどうしているのか、教師一人に対し複数の生徒がいる場合の指導はどのように行ったらよいか)、進路指導等について質問が出され、情報・意見交換がなされた。コーディネーターの先生からは、自身の学校での取り組みや具体的な実践の仕方等について紹介があった。例えば、教科指導はできるだけ早くから行うようにしていること、教員全員で多文化の子どもの情報を共有し、毎年情報を加えてバージョンアップしていること、背景情報を知ることで各教員がその子を多様な視点から見ることできるようになり子どもへの理解が深まっていること等の紹介があった。

矢部分科会

本グループは、日本語教室担当者が日常の指導で抱えている課題や疑問を各自出し合い、検討し、課題の理解と解決を図った。参加者は日本語指導(教室)初任者だけでなく、数年間の実践経験者、ボランティア教室主催者からなり、多様な状況と課題を話し合った。

 受け入れ児童生徒の多様性(来日時期、母言語・母文化、家庭状況など)が進んでいる中で、(1)家庭(保護者)との連絡、意思疎通、生活(習慣)上の課題、母子間のコミュニケーション不足など家庭に関わる課題、(2)学習に取り組む姿勢、取り出し指導の困難さ、日本語能力の不足、とくに学習に堪えられない日本語の力、それへの対応などの学習指導上の課題、さらに背景・母語が多言語化する中で日本では辞書もない言語への対応などに際して、地方にあって外部資源(通訳の獲得や定型文書などの入手等)の活用も困難である状況が報告され、それぞれ、助言し合って対応の手立てなどを紹介し合い、解決策やヒントを探った。

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平成23年度 第2回JSL研修の分科会報告

国語A

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教材:しかけカードの作り方(光村図書2年下)

対象児童

来日2年目。日常会話はできるが、文を読み解くこと、順序や様子を表す文などは苦手。

在籍学級の目標

(1)モデル文を読んで分かりやすい説明の仕方を知る
「どんな書き方にすると説明が分かりやすいか」について話し合って気付く(理解)

(2)自分でおもちゃの作り方を書く
 理解した書き方に沿って、おもちゃの作り方が書ける

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JSL国語の目標

(1)教科:簡単なおもちゃの作り方を書くことができる

(2)日本語:順序を表す表現を使うことができる(まず、それから、最後に、など)

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1班

第1次:仕掛けカードの実物を操作しながら本文中の言葉の理解につなげていく。またワ ークシートで語彙(例:飛び出す、引っ張る)が定着したかを確認する。

第2次:教師と児童で実際に仕掛けカードを作る。そのうえで、実際の内容の段落分けを し、理解を深める。その際、段落ごとに本文をコピーしたものを準備し、活動の順番通りに並べた写真につなげて貼っていく。順序を表す言葉(まず、それから)はマーカーではっきり色を付けて手助けをする。

第3次:自分たちで説明をするという練習として、簡単なおもちゃ(画用紙と楊枝で作る コマ)を作る。「まず」「それから」「おわりに」を意識させ、ワークシートにまとめて書く。

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2班

第1次:実際に仕掛けカードを見せて触れながら、本文を読む。読んでいる時、言葉(しかけ、山を作る、仕掛けの台になるところ、つまむ)にも注意しながら、実際に作っているところを見せる。

第2次:「作り方」の部分の「まず」「つぎに」「それから」「今度は」「最後に」の段落ごとにスペースを空けたリライト文を作る。それぞれの本文に当てはまる写真を考える。順序を表す表現に注目してみていく。穴埋め問題などもしてみたい。

第3次:簡単なおもちゃ(糸電話)を作る。

第4次:おもちゃの名前、糸電話、材料と道具、作り方、それから順序を表す表現を書くワークシートを作り自分たちで書く。最後に、「これで糸電話の出来上がりです」と締めくくる。

今澤先生から

皆さんお疲れ様でした。僕のグループの中でお話させていただいたのは、やはり限られた時間の中で何ができるかということです。やっぱり子どもたちは在籍学級でほとんど過ごしていますので、在籍学級で生きる授業を是非考えて下さいということをお願いしました。それから、授業づくりの中でもお話しさせていただきましたが、限られた時間ではあれもこれも・・・はできません。この子にとって何が押さえなければいけないところなのか、というのを肉をそぎ落として、ざっくりとした骨だけにしたものをスモールステップで教えていく。あとは、今、皆さんに見せていただいたものの中では、分かりやすいように色を変えてあったり、大きさを変えてあったり、囲ってあったりしましたが、色を塗る、線を引く、囲むといった本当にちょっとしたことも支援になりうるのです。どうすれば子どもにとって理解しやすいのかな、表現しやすいのかなっていうことをちょっとしたアイデアで支えていけるのかなって感じながら聞かせていただきました。

国語B

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教材:「一つの花」(光村図書 4年上)

授業の位置づけ:在籍学級で行う前の先行学習(1時間)

1班

対象児童

中国男子。サバイバル終了、来日2-3ヶ月、1-2年の漢字はOK、母語は学年レベル。

教科の目標

大まかなあらすじを理解する

日本語の目標

「ひとつだけ」の意味を理解する

〜授業展開(1時間目)〜

(1)導入:まず戦争についてどう思っているかを聞く。

*中国で受けた教育がどういうものかを指導者がキャッチしてから授業を進めたい

(2)あらすじ理解:ペープサートで視角的にあらすじを理解させる。

*登場人物3人(ユミコ、お父さん、お母さん)のフェイスカードを使用

(3)表現「ひとつだけ」:折り紙や色マーカーを用意し、「一枚だけ取って」「赤だけ取って」「青だけ取って」など「○○だけ」を使った活動を行う。

その後、このお話での「ひとつだけちょうだい」の意味と状況をペープサートを使い、「配給のものが少ないね」「お母さん、ひとつだけちょうだい」「はいひとつだけあげるよ」「お母さんはなくなりました」といった流れで確認する。

(4)理解確認:「ひとつだけ」の意味が本当に理解できたかを、子どもにペープサートであらすじを表現させて確認する。

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2班

対象児童

ブラジル男子。来日してから1年か2年くらい。文型の学習は終了していて、日常会話はできる。漢字の読みに苦手意識をもっている。

教科の目標

大まかな内容を理解し、感想が言える

日本語の目標

「ひとつだけ」の意味を理解する

〜授業展開〜

(1)語句確認:人数分の実物を用意し「ひとつだけ」とらせる活動などで「ひとつだけ」を理解させる。

(2)背景理解:児童が戦争について知っていること(ブラジルの戦争、日本の戦争)について話す。戦争の様子をイメージできるような写真などを提示する。

(3)内容: 教師の範読。その際に児童と必ず指で本文を追っていく。教科書はあらかじめルビを振ったものを用いる。

児童の理解確認。場面内容を児童自身が話す。挿絵をカラーで用意し、並べ替えながら内容がどうなっているのか話す。

感想:お母さんはなぜユミコに「ひとつだけ」と言ったのか考えながら、感想を言わせる。この際に、戦争の時の時代背景をもう一度確認する。(時代背景をしっかりと理解させるため)

寺沢先生から

国語Bでは、まず実態を決めました。その時、サバイバル言語が終わってすぐの子と、文型が終わって話もできるんだけれど勉強はちょっとという子で、大きく状況が違うという話が出ましたので、グループを半分に分けて行いました。それぞれのグループで皆さんが本当によく意見をおっしゃっていて、アイデアがたくさん出てきていました。とても素晴らしいと思います。後はそれをどのようにして絞っていくかです。実態に合わせた目当てに向かってどれを選ぶか、ということについてお話をさせていただきました。短時間で最後まで完成できましたので、帰ってからもきっとできるんじゃないかな、と思っています。子どもはやはり勉強ができるようになりたいと思っているし、クラスでできたらとても嬉しいので、その子どものために指導をしていこうと思います。教科指導は、JSL・AU・何とか支援・かんとか支援と新しい言葉がたくさん出てきて、私も初め少し難しいように思っていました。でも、普段皆さんがされていることを意識化しておこなっているだけだと思います。ですから書いてあることを意識して、いつもやっていることを突き詰めていっていただけたらいいな、と思います。勉強になりました。ありがとうございました。

算数・数学

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対象児童

漢字圏ではない5年生。平仮名は読める。日常会話はできる。一年生程度の漢字はできる。三角形、四角形は一応は理解できている。

教科の目標

四角形の内角の和が360度であるということを理解する

日本語の目標

三角形、四角形、角、和などの言葉と形、意味が分かるということ。

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〜授業展開〜

(1)既習事項の確認1

黒板に三角形、四角形と漢字で書いておき、提示した形を子どもに分類させる。分からなかった場合は教える。

*教具:三角形、四角形の図、折り紙、三角定規

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(2)既習事項の確認2

三角定規の角を見せ、90度であることを確認する。分からない場合は教える。

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次に、90度が二つ重なった真っすぐな線の時は何度かを考えさせる。

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さらに、180度が二つ重なると180+180は360で360度になることを確かめる。できない場合はこういう(写真参照)筆算形式で計算をさせる。

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(3)作業

折り紙を6枚程度配る。好きな四角を書かせ、それをクリップで留めて、はさみで6枚切らせる(間違えて三角形を書いていたら、(1)にもどり、先ほどの図をもって確認)。それぞれの角に「あ、い、う、え」と書かせる。

*教師が一緒に作業を行う。

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(4)活動

隙間がないように並べよう」と声をかけ子どもに考えさせる。(「隙間」「並べる」などがわからないときは、教師がモデルを示しながら説明する)。同様に「長さが同じところをくっつけてごらん」という声かけをして子どもに考えさせる。

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(5)考察

子どもたちに「何かわかったことある?」と声をかけ、「隙間がない」「きれいにぴったり」などの感想を出させたうえで、「あ、い、う、え」が集まっていることに気づかせる。「あ、い、う、え」がくっつくと360度であることを確認し、「あ、い、う、え」が四角形の4つの角であることを思い出させる。最後には4つの角を合わせたものが360度だねと確認する。

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(6)まとめ

台紙に貼って、このような形(写真参照)でまとめる。

傍士先生から

算数・数学は多少教科の特徴もありまして、他の教科よりは持っている背景の文化が違っていても、共通の部分がたくさんあります。そういう面では助かっているんですけれども、今日感じたことは、たまたま参加者の方が皆、いわゆる日本語指導の立場で活躍している方でしたので、授業でその教科を教える教員がJSLの生徒を前にして悩む悩みと、日本語指導をしている方の悩みと、微妙に違いがあるんだな、ということです。そういう立場の人がたとえばサポートの形で教科指導に関わった時に、どういう部分に注意しなければいけないかという視点で、皆さんとお話したつもりです。今日参加した方々はとにかく日本語のわからなさについてむしろ僕なんかよりもずっと熟知している方々ばっかりでしたので、その意味で非常に助かりました。エンジンに火がついてこのままさーっと進んでいったら、これはきちっとしたものができそうだなと思いました。皆さん、先ほどの発表にもありましたように模造紙10枚になりましたけれども、色々なことが出てきてある意味では理想的なものができたかなと思います。ただ、あれが必ず全部うまくいくわけではなくて、それこそ発表の中にもありましたけれど、子どもの実態に応じてうまく合わせられたらいいな、と改めて感じました。ありがとうございました。

理科(取り出しによる在籍での学習の先行授業)

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対象児童

来日1年程度、出身はフィリピン、小学校六年生。

単元

「人と動物と体」、「呼吸で何を取り入れるのか」

理科の目標

吐いた息を石灰水に通すと白く濁る

日本語の目標

「濁る」の意味がわかり、「濁る」という言葉が使える。「~すると...なる」という変化を表す日本語が使える。授業で使う言葉を確認する(吸う、吐く、酸素、二酸化炭素と)。

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〜授業展開〜

(1)開始のあいさつ:「起立、礼、これから理科の授業を始めます」「よろしくお願いします」というのがとても大切。なぜならこれをいうと、子どもが授業が始まる、聞かなきゃいけないという気持ちになるから。 (

2)導入実験:「ビニール袋の空気を吸い続けるとどうなるだろう」 Tが「じゃあ○○君。すって、吐いて下さい」と指示。子どもに「苦しい」と感じさせ「なんで?」を引き出す。

*理科では「なんで」がとても大切。これは教師の技で子どもに「なんでだろう」と思わせる導入をした後で、「なんでだと思う?」「なぜだと思う?」という問いかけをする。

*子どもがよくわかっていないときは、理解支援として、選択肢を与えたりワークシートをしたり、言葉のヒントを与える。表現支援にもつながるような支援をする。

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(3)実験:授業で行う実験をし、石灰水に呼気を通したら水が白く濁るということを理解させる。教師が繰り返し「濁ります」「濁りました」といった言葉を言い、板書でも繰り返し確認する。まとめとして「吐いた息を石灰水に通すと白く濁る」という法則が分かったことを日本語で表現させ、ワークシートで更に確認する。

*実際の授業で受けた時に、「濁った」とか「~すると...なる」ということが言えて、担当の先生から褒められ、そして自信が付いて理科が好きになるという流れが、非常に重要。

赤羽先生から

今日は一日ご苦労様でした。理科の方は参加して頂いた先生方は4人ですが、先ほどの数学と同じで理科の先生は1人もいないんです。ただ、どうでしょう。学校に戻られたり職場に戻られたりすると、生徒が悩んでいるのは理科とか数学なんじゃないでしょうか。やはりこちらの先生方もそういう言葉がよく出てきました。そこで、子ども達のそのニーズに対して先生方がどうサポートできるかと考えた時に、やはり先生方もこういうところで理科も経験していただいた方がいいんじゃないかなぁ、ということは非常に強く感じます。先ほど見ていただいて分かると思うんですが、やはり専門家は専門家なんです。理科にしても数学にしても。必ずそこのサポートが必要なので、そのサポートして頂けるように日本語指導の先生方と教科指導の先生方が、どういう風な関係をもっていくかっていうことが重要なんじゃないかなっていう風に常々感じています。是非皆さんと、そして教科の先生方が学校の中で協力できるように努力して頂けたらと思います。以上です。ご苦労様でした。

社会

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単元:「昔のくらし」(東京書籍 4年生)

小学校

トピック

洗濯板を使った体験学習

社会科の目標

住んでいる地域の古くから残っているものを使って、昔の人の気持ちや工夫を考えることができる。

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日本語の目標

自分の感想や気付いたことを「~をしました。」「~が~なりました。」などの文型を活用して文で話すことができる。

予想される躓き

単語でしか表現できない

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〜授業展開〜

(1)洗濯板を触り、「昔の人の気持ち」を考える

(2)実際に洗濯をし、表現する。

*表現・感情・動作を生む工夫:冷たい水を使う、冬に行う、汚れた靴下を洗うなど

(3)まとめる

*表現させるための工夫:「~をしました。」「~が~なりました。」「~と思いました。」という文型を示す。必要に応じて母語で話し、その後文型を活用していってもよいことを伝える。

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中学校(トピック型)

目標

今の地域、生まれた地域に自分がこれからどう関わるのか考えることができる

対象生徒

東南アジア系中学二年男子。パソコンや運動が好き。来日が半年から1年くらい。日本語の段階は簡単なやり取りができて、小学校1年生から2年生の漢字、色々な事象に興味はあるが言語能力が壁となっている。書くことが多少苦手。母国では年齢相応の学習歴がある。

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〜授業展開〜

生徒が生まれた地域と今の地域を比べながら、その地域について調べていく。古いものについて調べ、なぜそういう古いものがつくられたのかを考えながら、自分との関わり、自分の考えをもつところまでいけたらいいと考えた。

近田先生から

社会科のグループは5人でした。5人で4つの活動案を考えました。ということは、先生方がそれだけ子ども一人一人の実態を大切にしているということですね。日本の子どもたちもそうなんですけれども、特にJSLの子どもたちはきめ細かく一人一人にあった支援が必要です。普通の教員以上に引き出しがたくさんないと対応できません。こういう会に毎回参加するたびに、私もですけれど、引き出しを増やしていけるような気がします。今回の研修会のように子どもだけじゃなく教師も学び合えるのはいいですね。

日本語A

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対象児童

在日半年から7カ月くらい。サバイバル日本語、ひらがなはできる。

学習項目

受け身

〜授業展開〜

(午前中の全体講義において国語の単元で海の生き物についての説明が紹介された。実は受け身文がその中にが多くあったので、指導案を考える前に教科書の文章から実際に受講生といっしょに受け身形をチェックして、抜き出した。そして関係性、どちらがどちらに何をする、してあげる(される、してもらう)方向性を確認する理解語彙、文型、及び発話使用語彙、文型としても大切なことを確認して始めた。)

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(1)導入

「小さい魚は大きい魚に食べられます」を例に、魚の絵を使い、「どっちがどっちを食べる?」という形で「受け身」の説明をする。

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(2)形の定着

日本語テキストを使い「受け身」の意味を確認する。

『店の人が品物をトラックからスーパーへ運ぶ』と『品物がトラックからスーパーへ運ばれる』の違いはどんなところにあるのか、どこが違うのか考えさせる。上は「店の人」、下は「品物」に目が行っていることに気づかせ、この視点の違いを色分けにして、説明する。その後、カードを使いドリル練習をする。「みる」「みられる」、「パックする」「パックされる」、「運ぶ」「運ばれる」など変化に気をつけながらドリルをする。さらに、受身の形と能動態の形と両方伏せておき、神経衰弱のように一枚ずつ引いて、うまく合ったらとれる、という形でゲームを行う。終わったら、一枚ずつそれを使った文を作る。

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(3)発展活動

給食についての説明文を読み、自分の学校の給食について、それを調理員さんに聞く。

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*インタビューシートを用意する(写真参照)。

分かりやすいように、メモしやすいようにワークシート形式にして、数字だけ入れられるようにする。

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インタビューをしてきたことに基づいて報告をする(指導員の先生やクラスメイトにも報告ができればなおいい)。

その際、先ほどのワークシートを元にして、話ができるようになるといいと思います。

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最後に、報告レポートとして、書いたもの、調べたことについてまとめる。「何々について調べました。何々にインタビューして二つのことが分かりました。報告します」というような報告文を書く。「●●小学校では毎食900人分作られています。それからお肉は○●時、パン、牛乳、野菜は朝早く届けられます」という様な文章を作らせて、最後にレポートとして書かせる。

和田先生から

日本語Aのグループは、最後3人になって、どうしようかと思ったのですが、本当にみなさんが色々ご協力くださって何とかできました。文法シラバスということで、受身形を取り上げました。文法シラバスといってもトピックと文法シラバスが一緒になったようなものを理想にしたいと考えて紹介しました。文法を勉強しても、「今から受身形を勉強します」と言って始めるわけではもちろんありません。その文型を勉強することによって、どういう風に使えるようになっていくのかということを、考えていくようにしました。先ほどの理科では「閉じ込められた空気」という言い方がでてきました。社会だと、「このお城は誰々によって建てられた」「このエビはインドネシアから輸入された」とか、たくさん受け身文が出てきます。それで少しでも教科に、学習活動に結び付くようにということで考えました。先ほどの流れで行くと、インタビューしたり新聞までできたら成果物として残るのでいいねと考えていただきました。学校というその場、給食をそこで作っていたらその場が勉強の場で、実際にインタビューにも行けますし、周りの調理員さんやクラスメイトに聞いてみようとか、いろんな方を巻きこみ、皆があなたの日本語を、勉強を見守っているよというような雰囲気を出しながら協力してもらって、自分の言葉で子どもが表現できる場があればいいな、ということを考えたつもりです。

日本語B(トピック型)

対象児童

サバイバル段階を終えた小学生

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1班

トピック「学校紹介」「○○の学校 あるなし辞典」

〜授業展開〜

(1)素材を使ってのブレインストーミング

*教具:カレンダー、教科書、行事や給食などの写真 その他、学校のパンフレット

(2) 学校の一日:母国の一日の流れ、日本の一日の流れを確認する。

*Tの発問例「フィリピンの学校では何時に始まるの」

帯グラフにして(上をフィリピン、下を日本という風にして、一目でその二つの国の違いをわかるように)提示する。この際に写真の小さくしたものなどを用意して、文字だけではなく絵で分かるようにしたい。

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(3)行事の確認

写真などを見せながら、「フィリピンで運動会はあったの」などと聞き、もしあれば○なければ×のように、分かるように表にする。

(4)文章化:②と③で行ったものを、文章化する。

*いきなり文章化していくのは難しいので、穴埋め形式で行う(写真参照)。例えば「フィリピンでは運動会はありませんが、日本では運動会があります」とった文章を提示しし練習する。最終的には作文にしたい。この際、絵を描くのが好きな子どもは絵日記風にする。

*文章を書く際、基本的には縦書きを目標にしたいが、難しい場合には「横書きでもいいよ」といい、生徒のレベルに合わせる。書いたものは、親学級で成果発表という形にしたい。

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2班

トピック「学校生活」「持ってきたいな、こんなもの」

〜授業展開〜

(1)学校に持ってきていいもの:いろいろな絵を描いておき、日本でも持ってきていいものは○を付ける。また、子どもがいた国の名前を書き、その学校で持ってきて良かったものには○、持っきてはいけなかったものには×を書く。

*すぐ子どもが分かるように○×で書く。この時、実物や写真や絵のカードなどを用意して、すぐわかるような手立てを用意しておく。 それ以外の持ってきて良いものが書けるように欄を用意しておき、子どもが絵でここに描けるような活動ができたらいい。

(2)文章化:表の内容を「日本の学校には何々をもってきても良いです」「日本の学校には何々をもってきてはいけません」という文型に直していく。すぐわかるように例を書いたワークシートを作っておき、同じように「○○の学校には何々をもってきても良いです」「○○の学校には何々をもってきてはいけません」と、前にいた国の学校のことを書く。

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(3)友だちにインタビュー:「学校には何をもっていきたいですか」

*インタビューシート低学年用

話したお友達の名前、「学校に何をもってきたいですか」「それはどうしてですか」と聞き、答えを記入していく(かわいい絵を入れる)

*インタビューシート高学年用

一人に対して一枚ではなく、「誰に聞いたか」「何をもっていきたいと思っているか」「その理由」と表のようにまとめる。

*マイク、レコーダー(書ききれなかった時に後で文章に直せるように)、メモをするためのクリップボードを用意、子どものやる気につなげる。

(4)発展の活動:高学年ではグラフにまとめる。持ってきたいものランキングを、在籍学級でのポスターセッションとして発表する。また、先生へ「こういう意見があったんですけど、何で日本の学校は持って来ちゃいけないんですか」といったインタビューしていく。

*このワークシートは子どもの実態に合わせ、途中でやめても良いように作成した。

谷先生から

分科会の日本語Bは、トピック型で、母国の学校を紹介するという形で作っていきました。トピック型のよさというのは自分の中に持っている「伝える内容」を発信することができる、というところにあると思います。じゃあどういう活動にすれば子どもが伝えたくなるような活動になるのかな、というところを考えていきました。まずブレインストーミングとして担当している子どもが、母国の学校とのどういうギャップで悩んだり驚いたりしているかという話をして、それをグループ分けした結果、さっきの2つのグループになりました。活動を作る上で考えたことは、それをどういう問いの言葉で、言葉かけをすると引き出していくことができるのか。それを助ける身のまわりの素材、リソースはどんなものがあるのか。また、実際に活動する際には、個別性にどう対応するのか。国籍であったり、母語であったり、既習の学習内容であったり、そういうものに応じて、いったん作ったものでも変えていかなければいけないというところが、やはり注意していかなければならないところかなと思います。皆さんすごくアイデアが豊富で字もきれいで、なかなか美しいポスターができたんじゃないかな、と思います。どうもありがとうございました。

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平成23年度 第1回JSL研修会の参考資料

「参考図書」

「参考ホームページ」

*5月14日開催の第1回JSL研修の際お配りした「参考図書」「参考ホームページ」です。当日は、「ホームページ」後半が欠落しておりご迷惑をおかけいたしました。あらためてお詫び申し上げます。

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