公開研究会

公開研究会「日英バイリンガル児童と学校教育 ―これまでの成果と今後の課題」

日本は現在でも基本的に単一言語(モノリンガル)の社会を構成している。モノリンガル社会におけるバイリンガル学校教育には、バイリンガル社会におけるバイリンガル教育とは異なる困難が多々あることは誰もが認めるところである。またそのことは、多くのモノリンガル国家が公教育において本格的な小学校での第二言語教育に懸念を示す理由でもある。しかしながら現実には日本の公教育は多言語児童を多く抱え、方向転換を余儀なくされている。

日本にいる多言語児童、すなわち外国人児童、国際結婚児童、海外子女・帰国子女は、モノリンガル社会の中のある種の小宇宙とも言えるバイリンガル環境の中で生活経験を積む。国内でバイリンガル教育を提供する学校(多くが私立)もまたひとつの小宇宙としてバイリンガル環境を作り、子どもたちの言語および様々な知識や能力、社会性を育む使命を果たしつつある。バイリンガル教育の現場ではひとつひとつ課題を克服するための努力を積み重ね、成果に結びつけている。このようなバイリンガル教育の現場での実績と課題を、多言語児童を抱える日本の公教育の発展に生かすことができるだろうか。またもしできるとしたら、どのような方法があるのだろうか。これらの点を議論することが本研究会の目的である。

国内のインターナショナルスクールの現状と課題についてNew International School 校長のParr氏にまずご報告をお願いする。次に国外の公教育におけるバイリンガル教育の例として、日英バイリンガル教育を行っているアメリカ唯一の公立小学校の校長であるFriebus-Flaman氏にお話いただく。最後に帰国子女教育の成果と課題について啓明学園国際センター長の横内氏にご報告いただく。共通の論点として①各校の生徒の特徴(入学条件)、②カリキュラム上の特徴、③評価の方法、④将来の進路の特徴、⑤バイリンガル教育が成果を挙げられる条件、⑥日英とも伸びない子どもへの対応、⑦日本人の児童の言語発達に特徴的な課題、⑧家族の背景などをお話いただく予定である。


■日時:2011年11月26日(土) 13:00~17:00 開場:12:30

■場所:共立女子大学3 号館508 教室(東京都千代田区神田神保町3-27 3 号館)
    アクセス
■対象者:二言語習得、海外帰国子女教育、英語教育、インターナショナルスクールに関心をお持ちの研究者、学校関係者、 学生、一般の方

■主催:東京学芸大学国際教育センター共同研究
    「多言語・多文化環境で育つ児童の学習言語の発達と障害」
    東京学芸大学国教育センター
    「海外子女教育の新展開に関する研究プロジェクト」
■共催:共立女子大学
    金沢大学子どものこころの発達研究センター

プログラム [英日通訳付き]
13:00-13:05 挨拶 松井智子(東京学芸大学教授)
13:10-13:20 趣旨説明 権藤桂子(共立女子大学教授)
13:20-14:10 話題提供1 Steven Parr (New International School校長)
14:10-14:20 休憩
14:20-15:10 話題提供2 Marion Friebus-Flaman (Dooly Elementary School校長)
15:10-15:40 話題提供3 横内繁樹 (啓明学園国際教育センター長)
15:40-15:50 休憩
15:50-16:05 指定討論 稲田素子(東京学芸大学特任准教授)
16:05-16:50 ディスカッション 進行:松井智子
17:00 閉会 権藤桂子